自分の英語力はいつまで経っても初級、と思っておられる皆さんへ。

何度も参考書や問題集に挑戦してみるけれど、やっていることの意味がわからなくなり、挫折を繰り返してしまう、ではありませんか。学力が積み重なっていく感じを得られないと、迷路に入ったように、行くべき道筋がいつの間にか消えてしまいます。会話本、文法問題集、英文解釈など、どれをとっても学力が増えてゆくことが前提になっているけれど、学力がついた感じがしないうちに次の章が始まる、そうではありませんか。

「基礎」「初級」の本を手に取り、章立ての順序に沿って、何回か繰り返し読むのだけれど、肝心の「基礎」が定着した実感がえられない。網で水をすくっているようなもどかしさがある。

そんなあなたの発想を変えてみませんか。

基本的な文法説明であったり、短い例文でできた会話文であっても、決してそれは「基礎」ではありません。「基礎」というのは、英語の文字の音や単語の音がわかり、英文をスラスラ読める状態を指します。読めないと、なんとか訳せても、英文の仕組みや語句の関係がわかったことにはなりません。文法説明は、たとえ初級であったとしても、ほとんど無価値と言ってもいいでしょう。

繰り返します。英語の基礎力は、ズバリ読める力です。構文が難しくてうまく訳すことができず、意味を掴んでいなくても、スラスラ読めるとすれば、それはあなたが身につけた力です。そこが出発点だと考えてみてください。日本人にとってわかりにくいlとrの違いのことを言っているのではありません。そこの違いをうまく言えなくても、英文全体を見本音声を真似て言えるかどうか。さらに言えば、すっかり自分のものにして、まるで自分の言葉のように言えるかどうかではないでしょうか。声に出して読む活動と並行して、英文を訳し、意味をつかんだ上でまた音読する、ということが望ましいのは言うまでもありません。

Once there was a miller who was very poor, but…

こうした文を一方で音読練習をしながら、他方で語句の関係を確認して語順訳し、文の意味をつかむことを始めてみませんか。二つの活動は、いますぐあなたができることです。「できる」ということは、その力が積み重なっていくということにほかなりません。そうすれば文法の説明にも、頷けることがきっと増えてゆくでしょう。説明をただ読むのではなく、内容について頷ける基礎を手に入れて初めて、「初級」の道を歩むことができるにようになるでしょう。

音読と語順訳は、英文の要素、「主語」「述語動詞」「目的語」などの理解を進めます。また英語独特の語句の配置=語順の感覚を育てます。語順感覚こそ最も身につけたいものなのです。要素の理解と語順感覚、この二つこそ本来的な意味で「初級」の証であると申せましょう。

一度Podcastを覗き、聴いてくだされば幸いです。