「abさんご」黒田夏子著
斜め読みを許さない文体である。音読をすればすぐにわかる。読者の呼吸のリズムを拒否し、作家のゆるやかな時間に引き入れる強さがある。性急さへの戒めのように。フィルムを巻き戻し、咲いた花を元のつぼみ、双葉の...
斜め読みを許さない文体である。音読をすればすぐにわかる。読者の呼吸のリズムを拒否し、作家のゆるやかな時間に引き入れる強さがある。性急さへの戒めのように。フィルムを巻き戻し、咲いた花を元のつぼみ、双葉の...
「宮沢賢治の世界」吉本隆明著 筑摩選書(2012年8月刊) もう二十年以上も前、会社からそれほど遠くない会場で吉本さんの講演があるというので、出席したことがあった。そのときの内容が今回講演集としてま...
『暮らしの質を測る』スティグリッツ委員会の報告書立教大学特任教授 福島清彦訳一般社団法人金融財政事情研究会 刊 任期中の2008年、元仏大統領サルコジ氏は経済学者スティグリッツ氏を含む3人の専門家によ...
その2 「雪国」(川端康成・作)の1行目の不思議(二) 英語(話者)とちがって、日本語(話者)では主語の省略により、主客未分、人間と自然との合一の感覚を表現できる、という解釈とは別に次のことが言えるの...
「産学官民連携の地域力」関西ネットワークシステム編学芸出版社刊 6月にKNS関西ネットワークシステムの会に出席したおり、世話人のお一人、メビック扇町の堂野さんが、二度三度と司会の合間にこの本を紹介され...
「雪国」(川端康成・作)の1行目の不思議(一) 「汽車が、国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」というように、川端が「主語」を明快に書いていたら、これほど話題にはならなかったでしょう。サイデン・...