〜英語の基礎力をつけるための語順和訳と音読〜
NEW CROWN 1から‘Alice and Humpty Dumpty’
を取り上げます。
「その13」までを読まずに、いきなり今回を読み始めたみなさんに、少し説明します。
英文を語順に沿って訳し、意味をとることと、スラスラと見本通りに音読することで、どのような力がつくのでしょうか。
知っている知識、覚えた文法を使って英文を訳すのは、習った範囲の復習にはなりますが、英文を「読む」ことと少し違います。言葉が話されたり、書かれたりしたものは、たとえば、主語→述語動詞→目的語というように英語の規則に沿って言葉が生まれていきますので、その順序の後を追いかけて意味がとれる方が良いでしょう。
会話をしている時、聞こえた順に意味がとれた方が自然だし、読む時も、読むに従って意味がわかる方が、時間が少なくてすみます。そういう学習を普通は英語力がついてから行うのですが、学習の初めからその訓練をした方が、英文の自然な姿をつかむことにも役立つのです。
知識を使って訳すときは、文の最後まで目を向けて日本語らしい文を作ろうとして、この英文の流れを無視してしまいかねません。英語を話す人、書く人が言葉を生み出す状態を追体験すると、英文が生まれていくときの感覚が伝わってきます。英語力をつけるには、知識は欠かせませんが、この感覚を手に入れることも大事なのです。音声言語では言葉には音がともない成り立っていますから、音がどんなふうに流れているかを感じとりながら、意味をつかむ力をつければ、覚えた知識も活かされるのです。訳とともに行う音読の徹底はあなたの英語力を必ず伸ばします。
アリスの第一段落です。
Alice was sitting by the river.
Suddenly she saw a white rabbit.
The rabbit looked at his watch and said, “I’m late. I’m late.”
He ran into a hole in the ground and disappeared.
She followed him.
では英語の語順に沿って順番に訳していきましょう。
はじめは一語一語、省略せずに訳します。そして、次第に知識が増えて来れば、少しずつまとまりで訳すようにします。そして、文の意味が十分につかめるようになれば、まだまだ先の話ですが、いちいち日本語にしないで読む、「速読」への道も開いてきます。
まず最初は、かならずひとつの単語や語句を発音し、その意味を言ってから、語句をつないでいきます。
たとえば
Alice(声に出して読む) → (訳は)アリス(声に出す)
was sitting(声に出して読む)→(訳は)座っていた(声に出す)
二つをつないで、アリス座っていた(声に出す)
では、始めますが、その前に第一段落だけでもスラスラと音読できるようにしておいてください。見本通りにスラスラ言えないで行う勉強は、とても効率が悪い。上手な音読は英語学習の基本であることを忘れないでください。練習した分だけきっと力が伸びます。
Alice was sitting by the river.
Alice
アリス → アリス(主語かどうかは未定の段階ですの
で、そのままです)
was sitting
座っていた 述語動詞が出てきましたから、Aliceが主語とわ
かります。そのままつなげると、「アリス座って
いた」ですが、英語の主語には、日本語では
「は」や「が」をつけます。
→ アリスは座っていた(赤字は述語です)
sittingの原形は sit=座る
by
〜のそばに そのまま前の言葉につなげると
アリスは座っていた〜のそばに、となりますが
日本語では述語が最後にきますから、そのように
移動します。
→ アリスは〜のそばに座っていた
by〜 → 〜のそばに、というように「〜」は日
本語では先に言うことになります。「ナニナニ」と
読んでおきましょう。
the 定冠詞のtheは特定の、決まったものがこのtheの後
にきます。「その」をつけて訳す場合もありますが、
つけない方が自然な場合もあります。ここでは、訳さ
ないでおきましょう。
river.
川 「〜」のところに「川」が入ります。
→ アリスは川のそばに座っていた。
(つづく)