中学の英語教科書を語順にそって訳してみる   その12

〜英語の基礎力をつけるための語順和訳と音読〜

City Lights 第3段落・最終回

She touched his hand and remembered.

She          彼女は

touched        触れた   現在形touchにedがついて過去形に
            彼女は触れた

his hand        hisは人称代名詞の所有格 「彼の手」 
            彼女は触れた 彼の手→ 彼女は彼の手に触れた

and          そして
            彼女は彼の手に触れたそして

remembered.     思い出した  She touched his hand and remembered
            
彼女は彼の手に触れた、そして思い出した

She 彼女は touched 触れた→彼女は触れた his hand 彼の手→彼女は彼の手に触れた and そして→彼女は彼の手に触れた、そして remembered 思い出した→彼女は彼の手に触れた、そして思い出した

英語、日本語それぞれを声に出して、このようにつないでいけたでしょうか。

“Was it you?” she asked.

Was・・( ?)       「だったの?   
             述語のbe動詞が始めにきて、文末に〈?〉がきているので
             疑問文ですね。

it             人称代名詞三人称単数のitで、通常は「それ」と訳しますが
             ここでは、少女の記憶にある人を指していて、特に訳さなくて
             も良いと思われます。あえて訳すとすれば、「・・・した、あ
             の時の人は」というように、二人が共有していると思われる場
             面が思い出されて言われた言葉。

you ?”           あなた
              「あなただったの?」

she             彼女は
              「あなただったの」彼女は

asked.           たずねた  現在形はask
              「あなただったの?」彼女はたずねた
              → 「あなただったの?」彼女はたずねた

Charlie smiled and nodded.

Charlie smiled        チャーリーはほほえんだ

and nodded.         そしてうなずいた
               チャーリーはほほえんだ、そしてうなずいた
               チャーリーはほほえみ、そしてうなずいた

これでようやく終わりました。
どうでしたか? 語順訳のやり方がうまく伝わったでしょうか?
英文を語順に沿って前から語句を訳し加えていく感覚が少しは分かりましたか?

述語動詞が出てきたら、その前の語は主語で、「は」「が」を付け足す。そして日本語訳ではその述語動詞を最後に持ってくる、というルールを忘れないようにしましょう。
in  on  atなどの前置詞が出て来れば、その後に続く言葉を、日本語では先に言う。
and は必ずその前と後に同じ働きをする語、句、節がある。
a やan(不定冠詞)の後には数えることができる名詞(句)がくる。数をはっきりさせたい文脈では「1の、ひとつの、一個の」と訳す。「ある〜」と訳した方が良い場合もある。
訳すときは英語の一字一句を省略しないように注意しましょう。きれいな日本語に翻訳することが目的ではありません。英語の語順に従った訳を心がけましょう。「英語について」学んでいる、ということを忘れないように。

さて、訳は終わりましたが、ここからもう一つのスタートです。
一度訳したものを復習します。ノートの左ページに英文を、右ページにはその日本語訳を書きます。覚えられない単語の意味はその語句の上に書きます。そして英語の1文を声に出して読んでは、その日本語を言います。
そうして、何回か繰り返したら、その意味をいちいち日本語で言わずに英文を読む、つまり意味をイメージとして思い浮かべるようにします。思い出せないところは日本語を見て確認します。最後は意味や読み方の書いていない英文テキスト(教科書)を見て読むようにしましょう。
そのとき、最初に述べたように1分間に100語以上、150語を目標にすらすら読めるようにします。
このように、英文の意味を理解した上でスラスラ言えるようにすることが最終目標となります。訳せても、読み方がカタカナ読みだったり、あまりにゆっくりだと英語とは言えません。英語の基礎力をつけようとすれば、正しい発音で、また適度の速さで読めることが求められます。しかし、このCity Lightsの1作品だけでもそれができれば、間違いなく力がつきます。「英語って、こんな感じで文ができているんだ」と言えるようになるでしょう。

Charlie was a poor, lonelyひとりぼっちの man.‖ チャーリーは貧しく、ひとりぼっちの男だった
He had no job,             ‖ 彼は仕事を持っていなかった
and walked around the city every day. ‖ そして街を毎日ぶらぶら歩いた
One day, he saw a girl on the street.  ‖ ある日、彼は一人の少女を通りで見かけた

というようにしてください。一文が長い場合は意味のまとまり、自分で意味をつかめる
範囲で書いてもかまいません。
One day,                                ‖ ある日
he saw a girl            ‖ 彼は一人の少女を見かけた
on the street.           ‖ 通りで

音読ですが、できればこの話の語り手になったつもりで音読してみてください。日本語の意味をいちいち見なくてもできるようになれば、語り手になれます。

ところで、英語の文では、人称代名詞がたくさん使われます。見てみましょう。

She was blind and selling flowers for her family.
Suddenly she dropped a flower, so Charlie picked it up and bought it.
The girl thanked him, but he did not say a word and walked away.
The girl could not see Charlie, and thought, “He’s a rich, kind man.”

Charlie got a job, and bought flowers from her every day.
He became very important to her.
One night, Charlie met a rich man, and told him about the girl.
The man gave one thousand dollars to Charlie.
Charlie gave the money to the girl and said, “Here. Get surgery for your eyes.”
But the police thought, “Charlie stole the rich man’s money.”
The rich man was forgetful and did not say anything.
So the police put Charlie in jail.

Several months later, Charlie got out of jail.
He saw the girl on the street again.
She was still selling flowers, but now she could see thanks to Charlie.
He tried to pass the girl without any words.
She did not know his face, but he looked very poor and tired.
So she gave a flower and some money to him.
She touched his hand and remembered.
“Was it you?” she asked.
Charlie smiled and nodded.

人称代名詞をただ「彼」「彼女の」と訳して終わりではなく、それが誰のことを指しているかをいつも意識しましょう。わたしたちはあまり人称代名詞を使いませんが、自分がこの物語の語り手になったつもりで音読する時、代名詞が誰を指すかを常に考えて行ってください。

さて、これで‘City Lights’が終わりました。この話の元になった映画があります。
チャールズ・チャップリン監督、主演の「街の灯」という映画で、1931年に上演されました。今は無料で見られるサイトがあるようですから、一度見てみてはどうでしょう。

次回は、NEW HORIZONの3年生の教科書本文から、少し拾い読みをしてみます。