中学の英語教科書を語順にそって訳してみる   その24

〜英語の基礎力をつけるための語順和訳と音読〜

NEW CROWN3より、‘A Present for You’ 第3回
もうおわかりのように、主語と述語動詞は赤字にしてあります。英語ではふつう、主語→述語動詞とつながりますが、日本語では述語はどんどん後ろに下がっていきます。その動詞が二つ出てくることの多い段落です。あわてず、原則に基づいて訳していきましょう。

Della went up to the mirror and stood before it.
Della went up to                デラは〜に近寄った
the mirror         鏡→ デラに近寄った
                (鏡のところまで行った)
and stood         そして立った
              → デラは鏡に近寄って、そして立った
before it         それの前に it=the mirror
              →デラに近寄り、そしてその前に立った

She looked at herself in the mirror.
She looked at       彼女は〜を見つめた
herself           彼女自身→ 彼女彼女自身を見つめた
in the mirror        鏡の中の→ 彼女鏡の中の彼女自身を見つめた
               → 彼女鏡の中の自分の姿を見つめた

She thought that she looked exhausted.
She thought        彼女は思った
that            ‥ということ→ 彼女‥ということを思った
she looked         彼女が〜に見える→ 彼女彼女が〜に見える
               思った
exhausted         疲れきった→ 彼女彼女疲れ切ってように見える
               と思った
               


She looked at her long, shiny hair.
She looked at        彼女は〜をじっと見つめた
her long, shiny hair.              人称代名詞の所有格+形容詞+形容詞+名詞
                彼女の長く、輝いた髪の毛
               → 彼女彼女の長く 輝いた髪の毛をじっと見つめた

“I know Jim loves it, but it’s all I have,” she thought.
“I know          「私はわかっている
Jim loves it,        ジムがそれを愛している→「 私ジムそれを愛し
                ている
ことをわかっている
               itは先に出てきたher long, shiny hairを指します。
but it’s all         it’s=it is  それが・である
               けれど、それがすべてだわ→ 「私ジムそれを愛して
               いる
ことをわかっている、けれど、それがすべてだわ
have,”          私がもっている→ 「私ジムそれを愛していること
              をわかっている、けれどそれが私がもっているすべてだわ。」
                → 私がもっているすべて=私にはそれ以外には何もない
she thought        彼女は思った
               →「 私ジムそれを愛していることをわかっている
                けれどそれがもっているすべてだわ」と思った。

               とてもややこしい文になっていますね。
               日本語らしくすると
              → 「私ジムそれを愛しているをわかっているけれ
                ど、私(売るものは)ほかに何もないわ」と思いまし
                。といった感じでしょうか

Della went to a shop that dealt in hair goods.
Della went to        デラは〜に行った
a shop           ある)お店→ デラお店に行った
that            この語の後にくるdealt in hair goodsを前のa shopに
              つなげる働きをしている。
dealt in          〜を商う→ デラを商うお店に行った
hair goods        髪の毛の関連商品→ デラ髪の毛の関連商品を
              商うお店に行った

It was only a few blocks away from her apartment.
It was           それ(shop)はでした
only a few blocks     ほんの少しのブロック→ それわずか数ブロック
              でした
away from         〜から離れて→それわずか数ブロック〜から
                離れたところでした
her apartment       彼女のアパート→ それは彼女のアパートからわずか
               数ブロック離れたところでした→ それ(店)
               女のアパートからわずか数ブロック離れたところに
               ありました

In the shop, she saw a large woman who had cold eyes.
In the shop,        お店の中で
she saw          彼女は目にした→ お店の中で彼女は目にした
a large woman                   体の大きな女性→ お店の中で、彼女体の大きな
              女性を目にした
who            関係代名詞。後のhad cold eyesをa large womanに
              つなげる働きを示します
had cold eyes                   have+ 形容詞+名詞 冷淡な目をもつ
               → お店の中で、彼女冷淡な目をした体の大きな
                 女性を目にした。 

複雑な文の多い段落でしたね。
“I know Jim loves it, but it’s all I have,” she thought.

この文はピリオドまでひとつながりですが、3つに分けて訳してもかまいません。
“I know Jim loves it,    私はジムがそれを愛していることを知っている          
but it’s all I have”   けれどそれが私のすべてです
she thought.      と、彼女は思った
今このサイトを見てくれているあなたが中学3年生なら、接続詞や関係代名詞といったことを習ったか、これから習うかするでしょう。しかし今は、とにかくまず述語動詞を見つける。そうするとその前にあるのが主語です。ここでは【I】や【it】【she】という人称代名詞の主格がありますから、すぐにわかるはずです。それで「主語+述語動詞」という英文の骨格をつかんだことになります。

“I know Jim loves it, but it’s all I have,” she thought.

 S  V   S   V        SV   S  V    S   V
その組み合わせが五組もあります。区切りは【,】(カンマ)が目印です。それぞれの主語と述語との間に、ほかの語句がうまく当てはまるように考える必要があります。いきなり文全部を見てどうしようかと考えるのではなく、語順にそって順につけ加えていけばいいのです。そうして、意味をつかんだら繰り返し音読して、最後はできれば暗記して言えるようにしましょう。
英文の形が複雑なものほど、よく音読し覚えてしまえばいいのです。接続詞や関係代名詞の働きは説明だけ聞いても、なかなかわからないものですが、文章を覚えてしまえば、感覚的に理解できるようになるのです。スラスラ言える音読をせずに知識を理解しようとすると頭が混乱します。音読のない英語学習は、キャッチボールもしないくせに、野球の試合に出るのと同じです。この英文のようにややこしい組み合わせになっていても、繰り返し音読し、スラスラ言えるようになれば、言葉同士のつながりかたが感じとれ、関係代名詞や接続詞の働きが徐々にわかるようになります。