〜英語の基礎力をつけるための語順和訳と音読〜
語順和訳のルールを振り返ります。
解説の後を追いかけているだけでは、自分のものにするのはなかなかむずかしいと思います。もう一度ルールを確認しながら振り返ってみましょう。
Charlie was a poor, lonely man.
チャーリー
チャーリーは だった
wasという述語動詞が出てきたことで、Charlieが主語であると判断します。主語の後に、日本語では「は」や「が」が付きますから「チャーリーは」としておきます。
もし「チャーリーが」としていても、後に続く言葉によって「は」の方が良いと思えば、その時点で変えればいいでしょう。物語ですから、wasの訳は「でした」でもかまいません。読み手へのていねいな語りかけであることが、その言葉ではっきりします。ただしそれは日本語としての表現の問題であり、英語のwas(be 動詞)にそれが表れているわけではないので、ここでは少しかた苦しいですが、「であった」「だった」と訳しておきます。
be動詞は文字通り「動詞」なので、それがわかるようにしているのです。
その次を語順通りに日本語にすると
チャーリーは だった 貧しい
となります。そこで
日本語では述語は文の最後にくるので、そのように「だった」を移動します。
→チャーリーは 貧しい だった
チャーリーは 貧しい だった、 ひとりぼっちの
→チャーリーは 貧しい、ひとりぼっちの だった
チャーリーは貧しい、ひとりぼっちの だった 男
→チャーリーは貧しい、ひとりぼっちの 男 だった
Charlie was・・と英語では主語(S)→述語動詞(V)がくることが基本です。それに対して日本語では述語部分は最後につけます。その違いをはっきりつかむためにこの和訳をすると同時に、繰り返し音読することで感覚的にも身につけましょう、ということです。
今度は前置詞(on, in, ofなど)の訳を見てみます。
One day, he saw a girl on the street.
ある日
ある日、彼は
ある日、彼は見た(見かけた)
ある日、彼は見かけた ひとりの
→ある日、彼はひとりの見かけた
ある日、彼はひとりの 少女 見かけた
→ある日、彼はひとりの少女を見かけた
ある日、彼はひとりの少女を見かけた 〜で
前置詞onには必ずその後に続く語句を入れるための「〜」をつけて意味をとらえておきましょう。on〜 →「〜に、〜で」、というように英語と日本語では「〜」の場所が逆になります。つまり、「〜」がきたら、そこに入る日本語を先に言うことになります。
ある日、彼はひとりの少女を〜で見かけた 〜の箇所にthe streetが入るので
ある日、彼は一人の少女を通りで見かけた となります。
次も同様です。
She was blind and selling flowers for her family
彼女は
彼女はだった
彼女はだった 目が不自由な
→ 彼女は目が不自由だった
彼女は目が不自由だった、そして
彼女は目が不自由だった、そして 売っていた
彼女は目が不自由だった、そして売っていた 花
→彼女は目が不自由だった、そして花を売っていた
彼女は目が不自由だった、そして花を売っていた 〜のために
→彼女は目が不自由だった、そして花を〜のために売っていた
このように前置詞に「〜」をつけて訳しておくと、英文で次にくる語句が、そこに入るのがわかります。
「〜のために花を売っていた」でも日本語としてはかまわないのですが、英文に出てくる順序をできる限り守って「花を〜のために売っていた」としましょう。将来英文を見て、いちいち日本語にしないでも意味がつかめるようになるためにも、日本語にしたとき不自然でない限りは、このできる限り英語の順序に従うという原則を守りましょう。
彼女は目が不自由だった、そして花を〜のために売っていた 彼女の
ここで「〜」には「彼女の」が入ります。
彼女は目が不自由だった、そして花を彼女のために売っていた
なんだかここで文が終わった感じがしますが、まだ続いています。
彼女は目が不自由だった、そして花を彼女のために売っていた 家族
この「家族」は「彼女の」の後に来ていますから、これも「〜」の一部です。
二つを足して訳しましょう。
彼女は目が不自由だった、そして花を彼女の家族のために売っていた
次に、訳した時の日本語について述べます。
The girl thanked him, but he did not say a word and walked away.
その少女は彼にお礼を言った、しかし彼は何も言わなかった、そして立ち去った。
これに対して、「その少女は彼にお礼を言った、しかし彼は何も言わずに立ち去った。」と言う訳の例を第5回に書いています。andの働きをしっかりわかった上でなら、「言わずに」としてもかまわないのですが、andの働きをはっきりと残しておくためには、そのまま「そして」と訳しておく方がいいと思います。
あとで日本語を見て元の英文が何だったか思い出せないようでは困ります。あくまでも、英語を訳すのであって、きれいな日本語にすることは目的ではありません。英語の言葉の一つひとつの働きを学ぶためにやっているのです。
(つづく)