最近は、典型的な夕立にあまり出会わないような気がする。
雨雲の多くは線状降水帯になりやすく、災害にまで結びつくことが多い。
熱中症が騒がれる以前は、この夕立がひとときの涼を運んできて、ホッとしたものである。
むしろ激しい驟雨を、毎夕待ち望んでいた。
河原で子供たちが遊んでいる。
ここは晴れているけれど、いつの間にか、にわか雨がカーテンのように広がって、迫ってくる。「おい、雨がきよるで」
彼らは屋根のあるところに身を隠すどころか、かえって、敵を迎え撃つ武将のように、じっと立ち尽くし、ぼやけ始めた風景を見つめ、雨音が聞こえ始めるのを待っている。
そして雨は、思いのほか早足でやってくる。
雨が当たり始めると同時に、少年たちは いま暑さに気づいたとでもいうように、雨のど真ん中ではしゃいでいる。
帽子投げ 踊るがごとし 驟雨かな
雨が去ると、濡れたままの衣服で、彼らはまた、野球を始める。
夕立ちや ボール探しで 日が暮れる