中学の英語教科書を語順にそって訳してみる   
その3

〜英語の基礎力をつけるための語順和訳と音読〜

City Lightsの語順和訳

第2文に入ります。

He had no job, and walked around the city every day.
これからは(声に出す)というのを省きますが、必ず声に出して読んでください。

He          人称代名詞、三人称単数の主格の一つ
        「彼は」そのまま主語になります

He had       「もっていた」   現在形はhave 
          彼はもっていた

He had no      no〜 「〜のない」
          彼は〜のないをもっていた → 彼は〜をもっていなかった

He had no job, 「仕事」
        彼は仕事をもっていなかった 

He had no job, and   「そして」
        彼は仕事をもっていなかった、そして
       
       となるのですが、jobの後に[ , ]カンマが入っています。つまりカンマ
       を入れないでHe had no job and という続け方もアリなのに、わざわ
       ざカンマが入っています。入ってなくても訳は「彼は仕事をもっていな
       かった、そして」と書くしかありません。色々な解釈ができますが、こ
       こで一呼吸おいているということは、仕事がない状態を読者にはっきり
       と意識してもらいたいからと考えられます。あるいは作者がチャーリー
       のことを思ってため息まじりで伝えたいからかもしれません。なんでも
       いいのですが、とにかく読者にちょっと立ち止まってもらいたい感じが
       あると言えそうです。日本語の句読点と異なり、英語ではこうした記号
       が使われたときは、作者はそれで何を言いたいのだろうと、考えること
       が必要です。

He had no job, and walked around
                「ぶらぶら歩いた」 現在形はwalk around 規則動詞の過去形はed
       をつける。andはその後のwalked aroundという述語動詞とその前の
       述語動詞hadとを結びつけているので、主語は同じくHeとなります。
       このようにandは同じ働きをする言葉を結びつけます。
        彼は仕事をもっていなかった、そしてぶらぶら歩いた

He had no job, and walked around the
                 theは決まった、特定のものが後にきます。「その」と訳したり、訳さ
       ない方が良い場合もあります。ここは訳さなくて良いでしょう。
        彼は仕事をもっていなかった、そしてぶらぶら歩いた

He had no job, and walked around the city
                 「
街」  この物語の舞台となるその街
         彼は仕事をもっていなかった、そして街をぶらぶら歩いていた

He had no job, and walked around the city every day.
                 「毎日」
        彼は 仕事をもっていなかった、そして街を毎日ぶらぶら歩いた
        
「毎日その街をぶらぶら歩いた」と、「毎日」が先に来てもいいのですが、
        できる限り英語の順に訳すようにします。

【ここで一言】 参考書などではこの文の訳として、主語の「彼は」という語を省いているものがありますが、英語を訳している限り、必ず入れるようにしましょう。日本語とは異なり、英語には必ず「主語」があるということは、とても大切な特徴です。日本語への訳ではなく、逆に英作するとき、主語にあたる語がどれかを意識することが欠かせません。

第3文です
One day, he saw a girl on the street.

One day,         「ある日」

One day, he.      「彼は」
         ある日、彼は

One day, he saw   「見かけた」 現在形「見る」はsee
         ある日、彼は見かけた
One day, he saw a  「一つの」 今回は訳しておきます。
         ある日、彼は一つの見かけた

One day, he saw a girl   「少女」  aの後に人を表すgirlがきましたから、それにふさ
         わしいようにaを訳し直しましょう。
         ある日、彼は一つの少女を見た→ ある日、彼はひとりの少女見かけた

One day, he saw a girl on   on〜は「〜に・〜で」
         ある日、彼はひとりの少女〜で見かけた

One day, he saw a girl on the street.   「通り」(the は訳さないでおきます)
         ある日、彼はひとりの少女を通りで見かけた

         ここも「通りで」を「少女を」より先に言っても日本語としては自然
         ですが、やはり英語の語順を優先しましょう。saw「見かけた」ですが、
         ここでは、自分から見ようとしたのではなく、ぶらぶらと歩いていたと
         ころ、その姿が目に入った、目に止まったという感じでしょうね。すぐ
         この後、作者は彼女の目が不自由だということを書いていますから。
     
(つづく)