若葉の季節となり、

若葉の季節

若葉の季節となり、余震もすこしは回数が減ったと感じられると、文字通りからだが軽くなった気がする。三分の二になった電車内や駅構内の節電の明るさ(暗さ)になれたとはいえ、とおく関西の地へ赴くと、その明るさの差は歴然である。気分が違ってくる。

神戸淡路の震災のときも、神戸の人が大阪へ来るとその日常の軽やかさ、明るさに心が慰められたとか。当時神戸大学医学部の精神科の先生をされていた中井久夫氏の、震災当時の様子などが書かれた著作が注目されているそうである。

出版された当時早々と購入して読んだのを覚えている。それから以後、氏の言葉を追いかけたくさんの著作を読んだ。医師として抜きん出ている方だと思う。ギリシャ語の訳詩集も出されている。

精神の病は、「人とは何か」を問うことを抜きにしては考えられないに違いない。多くの人は自分が「人」のサークルに入っていると思いながら、時には「入っていないのではないか」という不安に襲われるのではないだろうか。
「そんなこと人としてやるもんじゃない」と叫ぶ瞬間もあるだろう、しかし「場合によっては俺もやるかも」という思いを大事にしよう。

精神的な病もまたとても人間的な出来事であると思う。