「英語学習に王道はある」と信じて35年。

パル英語塾主宰 引地庸夫

パル英語塾主宰 引地庸夫

私は、神奈川県逗子の一角に、パルという、小さな英語塾を作って35年になります。新聞社、大手予備校、英語教育団体、画廊等々、10年余りで4つ以上も職を転々としてきた人間が、35年にもわたって塾経営を続けてきたことに、今改めて様々な感慨にふけっています。

 

子供が好き、というより、子供と接することが好きだったという以外に、この仕事をこんなに長く続けられた理由は思い当たりません。英語教育に使命感を持っていた、などということは、まったくありません。

塾設立当初は、幼児や小学生に童話の音声教材を暗記させ、劇活動を通じて自然な英語を多量に覚えるという、学校英語とは士台が全く異なる語学学習の活動をしていました。中学生や高校生にも、学校英語の勉強と並行して、童話教材の和訳と暗記を課していました。

中学生や高校生には、まず何よりも学校の成績を上げなくては、「塾」の基本的な役割を果たせないだろうと、オリジナルのテキストや問題集を作り、文法の知識を文字通り叩き込み、短文を多量に暗記させました。それと同時に、まがい物ではない本物の英語を脳細胞に染み込ませるのですから、学力が付かないはずがありません。神奈川県で、というより、日本中で、ウチの生徒より英語のデキる生徒はいないだろうという自信を持っていました。

童話教材の提供を、コアライブラリー協会から受けていましたので、塾の出発当時からコアとは不即不離という関係を持ち続けていました。1980年から、コアのホームステイ行事に全面的に協力するという、かなり密接な関係になってしまい、その活動がある程度軌道に乗った段階で、密接な関係を切らせてもらうことにしました。

しかし、その後間もなく、コアの経営者が現社長の弟月氏に変わり、それまで個人的にはさして密接な関係ではなかった氏から、コアの本質に関わる教育メソッドへの協力を打診されたのです。

現在、弟月氏を中心にコアライブラリー協会が提唱し、押し進めている「語順訳」は、35年前から、私は生徒にごく当たり前に実行させていましたから、二つ返事でOKしたわけです。

私の場合、現場での実例を検証し、積み重ねるという過程から、より厳密な方法論を生み出し理論づけていく、というような作業は全く苦手で、場当たり主義のその日暮しです。よくもこんな人間を、いわば身内にしようなどと考えたものだと、感謝以前に若干あきれます。

私の場合、「語順訳」は文字通り語順に訳すというやり方で、不定冠詞や定冠詞も訳させます。語から句へ、句から節へ、節から文へ、といういうような発展的な方法は取らず、生徒の実力に応じて、良く言えば臨機応変、正確には「適当に」やらせています。

最近は、私の塾に入って来る生徒の学習意欲が低下し、学力が落ちてから助けを求めてくる場合が多いので、昔のように抜群の語学力を誇る子がめっきり減りました。が、語順訳の実践によって、文の構造理解力はかなり迅速に高まりますし、高校生になると、長文読解のスピードが圧倒的に速くなりますから、この学習法を組織的に展開しているコアライブラリー協会の活動が注目を集める日が来るのも遠くはないと思います。

小さな塾から巣立ち、国際的に活躍している卒業生も多く、テレビの画面で喋っているのを見たりすると、偉そうな顔をするんじゃないよなどと茶々を入れることもあります。男性よりも女性の方が、海を越えて活躍しているようです。また、現在在席している生徒の多くが、卒業生の子供だという事実から、私のささやかな努力もムダではなかったのかなと思っています。

そうは言っても、私ももう歳なので、前向きに目標に取り組むなどという意思はありませんが、弟月氏の無私の情熱と意欲には全面的に降伏していますので、体力の続く限り、応援をさせていただこうと思っています。スタッフの皆さん、そして組織を支えるテューターの皆さんのさらなるご活躍と飛躍を祈っています。.

引地庸夫(ひきち・のぶお)
1942年生れ。東京外国語大学フランス語科卒業。パル英語塾主宰。
ホームページ:http://palenglish.jimdo.com/

*引地さんは1976年逗子にパル英語塾を設立。アメリカ、ヨーロッパを多く訪れ、語学教育の意義と重要性を認識してから、小学生・中学生・高校生・成人の英語力の育成をライフワークとされています。